人工肉とは 植物肉・培養肉が世界を変える!

SDGs

人工肉という言葉を聞いたことない人は少ないでしょう。

人工肉というと「試験管で作られた怪しい肉」というイメージを持たれる方も多のではないでしょうか?ですが近年の人工肉の発達は目覚ましく、普及一歩手前というところまで来ています。

今回はそんな人工肉について、その種類と人工肉が必要とされる背景を中心にまとめていこうと思います。

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人工肉とは 

人工肉とは「牛や豚、鶏などの肉の味や食感を人工的に作りだした加工食品」のことです。言葉通りですね。

人工肉の歴史は古く、1960年ごろから研究が始まっていました。当時はバイオテクノロジーの技術が低く、開発がなかなか進みませんでした。しかし近年の技術の進歩と社会の需要が追い風となり、2010年ごろから急速にその開発が進んだのです。

参照:日清食品より

人工肉はその材料や作り方によってフェイクミート(植物肉)クリーンミート(培養肉)に分けられます。

フェイクミート(植物肉)

植物肉は大豆やエンドウ豆などの植物性原料を使い、肉を再現して作られた食品です。

現在売られている多くがこの植物肉で、モスバーガー、マクドナルド、バーガーキング、サブウェイなど多くの食品店で扱われています。

モスバーガー グリーンバーガー(GREEN BURGER) ¥538 +税

クリーンミート(培養肉)

培養肉は牛や豚などの家畜から採取した細胞を培養して作った肉です。同じ人工肉と言っても植物肉とはアプローチが全く異なりますね。

無菌室のバイオリアクターという生物触媒(酵素など)の中で、細胞培養と分化誘導を組み合わせて作ります。

参照:日清食品より

人工肉ってなぜ話題なの?

アメリカでは2019年に2000万人(人口の7%)がビーガン(菜食主義者)です。この盛り上がりの背景にあるのが、健康問題や社会問題への関心の増加です。

人工肉は現在の社会が抱える多くの問題を解決する手段として期待されているのです。具体的に人工肉と関りがある課題についてここからまとめていきます。

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人工肉が解決を期待されている課題

食料不足

現在の世界の人口は77億人です。世界の人口は今後は2050年に97億人に達し、2100年ごろ110億人で頭打ちになることが予想されています。

国連食糧農業機関 (FAO) によると、人口増加や新興国の経済成長によって、食肉の需要は2050年に現在の1.8倍に上昇すると予測されています。

ですが家畜を育てるためには膨大なエネルギーが必要です。

このグラフが表すように、牛肉1キロの生産には11㎏の穀物と、2万Lの水が必要です。

牛肉を食べるために牛を育てるのは、食べ物を11皿作って10皿捨てているようなものなのです。

牛肉の増産が必要な一方、穀物の需要も高まることを考えれば、これまでの畜産業では限界があることは明らかです。

環境問題

畜産業は環境問題の主要因です。

上の項でみたように大量の穀物や水を必要とすることに加え、温室効果ガスの排出の15%は畜産業が原因と言われています。これは車・バス・電車・飛行機が出す温室効果ガスの合計より多い量です。

中でも注目されるのが牛が排出するメタンガスです。牛からの排出なんて小さな影響のように思えるのですが、メタンガスの温室効果は二酸化炭素の28倍なため、全体で見たら大きな影響になるのです。

また、森林伐採の多くもこの畜産業のためのもので、アマゾンの破壊の80%が畜産によって生じています。

健康問題

人工肉は健康問題を解決する手段としても期待されています。

まず人工肉を作る環境は厳密な衛生管理が可能です。虫や雑菌が繁殖せず、細菌やウイルスの侵入も防げ、食肉生産の安全性を十分担保できるのです。

さらに家畜の病気も心配する必要がないので、現在は多く使われている抗生物質や人工ホルモンなども使われません。

もう一つ大切な点が、肉に含まれる脂肪をコントロールすることができることです。これは食事制限のある患者や健康に関心の高い人にとっては大きなメリットとなるでしょう。

もちろん人工肉が絶対的に体にいいわけではありません。植物肉に使われる遺伝子組み換え植物の安全や、培養肉の安全の保障という課題がその前に控えています。また肉からしか取れない成分は植物肉では補えない分野かもしれません。

感染症問題

コロナウイルスのパンデミックを味わった現在、感染症問題の重要性は大きく注目されています。

大規模な感染症の歴史は家畜の登場とともに始まりました。

実際に疾病対策センター(CDC)は、人がかかる新しい病気の4分の3は動物由来だと推定しています。エイズ・エボラ出血熱・SARS/MERS・新型インフルエンザ・コロナウイルスなどがその代表例です。

家畜は多く肉や乳が取れるように遺伝子改良されているため、遺伝子的に単一の個体が多いです。つまりウイルスが自身の拡大を食い止める遺伝的変異帯に出会うことなく、やすやす広がっていく環境が整っているのです。

遺伝的多様性による「免疫防火帯」の欠如と、人間と動物がかつてないほど近距離で生活しているこの状況は、ウイルスの発生・伝播に理想的な環境と言えるのです。

倫理的問題

人工肉のメリットの一つが動物を屠殺する必要がないことです。

現在の畜産業は効率重視の工場型畜産と呼ばれています。それによる家畜の過密飼育や拘束は大きな問題となっています。

動物をモノのように扱うこの現状や、人間のために動物を殺すという点に疑問を持ち、ビーガンになる人も多くいるのです。

この倫理的問題は人工肉の宣伝活動の上で強力な切り札となるでしょう。

人工肉とSDGs

SDGsとは2030年までに達成を目指す17の持続可能な目標のことです。

SDGsにおける持続可能性とは「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」です。

畜産業が環境に悪いからといって、肉食を我慢するのではなく、よりよい解決策を提案する人工肉のアプローチはまさにSDGsの王道と言えますね。

SDGsとは何か、他の技術とどのような関りを持つのか興味のある方は「SDGsとは 最新テクノロジー×SDGsの世界」をご覧ください。

人工肉は美味しいの?人工肉の現状と取り組む企業達

私たちにとって大きな関心はそれが本当においしいのか?手に入りやすい値段で売られるのか?という点ですね。

後半のサイトでは人工肉の値段や味など市場でどのような動きを見せるのか、また人工肉に取り組む企業達の紹介をしていきます。2025年の勝者を紹介する本でも度々名前が挙がるような企業もいくつか見られます。

より詳しく知りたい方は「人工肉の現状とそれに取り組む企業達」をご覧ください。

まとめ

人工肉とは何か?なぜ近年注目を集めているのか?についてまとめてきました。

様々な問題やSDGsの追い風を受けてますます発展の期待される人工肉は今後も要注目のジャンルですね。

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