MaaSと言えば様々な交通手段を統合し、データの利活用を行いながら交通を最適化する取り組みです。
しかしMaaSのゴールは統合と最適化ではありません。あくまでゴールはその先にある、街つくりやあらゆる産業、社会への波及効果が発言される段階です。
今回はMaaS×〇〇の後編です。各取り組みについてまとめていきましょう。
前編については「MaaS×〇〇 前編 ~MaaS実現のその先の社会~」をご覧ください。
MaaS×小売り
小売業界はデジタル化の影響を非常に大きく受けて変化している真っ最中です。ここにMaaSの波が押し寄せるとどのように変化するのでしょうか。
まず期待されるのが「生活を丸ごと下支えするプラットフォーム」の開発です。配車サービスやフードデリバリー、買い物代行など、日常の移動と関連するあらゆるサービスを統合し一つのサービスとして提供します。
そのモデルとして「MaaSの事業者が主体となり、連携する小売店をクーポンで結びながらネットワークを創る」というタイプと「小売業者自身がMaaSオペレーターになる」というモデルがあります。
後者の小売業者がMaaSオペレーターになれば、例えばスーパーの各店舗をモビリティのハブにすることが可能になります。
小売業界がMaaSを取り入れることは以下のようなメリットをもたらします。
【1.店舗の配置の最適化】
移動のビッグデータを利用し、最も売り上げが出せる場所が判明します。縮小や撤退といった経営戦略にも大きな影響を及ぼすでしょう。
【2.顧客の囲い込みやブランド認知度の向上】
先ほどの例にもあった、スーパーをモビリティのハブにする取り組みが実現すれば、新たな顧客が獲得でき、認知度も上昇します。
【3.データ利活用による価値創出】
購買データと移動データをかけ合わせれば今まで見えていなかった顧客のライフスタイルが見えてきます。それらの利用は品揃え、店創り、新たなサービスの開発につながるでしょう。
MaaS×広告
まず行われているのが広告タイアップによりモビリティサービスを無料にする取り組みです。
その一例として有名なのがどん兵衛タクシーです。
これはタクシーやハイヤーの運用会社と広告スポンサーが手を組むことでユーザーの料金負担をゼロにするというビジネスモデルです。移動中の体験価値の向上と、広告効果の両立が行われているのです。
広告を主な収入源にしているGoogleもMaaS×広告に興味を示しています
。GoogleのWeb広告で表示された店舗を利用する際にそこに行くまでのモビリティを無償で提供するという取り組みで特許を取ろうとしているのです。「興味を持つ」→「行くかどうかの検討」というステップを大幅に下げ、広告を有効なものにします。
また、MaaSアプリによるリアルタイムの移動データを取得することも非常に有効です。
MaaSを利用する過程で、現在地が分かると、その周辺の施設の広告を表示したり、クーポンを配布します。適切なマーケティングとタイムリーな広告は何にも代えがたい価値を生み出すでしょう。
MaaS×働き方
私たちの生活に最も大きな影響を及ぼすのは、やはり働き方が変化することでしょう。
現在は働き方や暮らし方に大きな変化が起こっています。ネットさえあればリモートワークができますし、シェアoffice・シェアハウスの利用も当たり前になってきています。
MaaSの普及によってこの流れを一段と加速することになるでしょう。仕事中の移動時間の削減や有効活用、さらに移動がより便利に自由になった社会ではリモートワークも現在より活性化することが予測されます。
まとめ
MaaSと様々なサービスを組み合わせた取り組みを見てきました。
MaaSの話題ではMaaSそのものの利便性が話題の中心になりますが、MaaSを利用したサービスも斬新で、現在の生活を大きく変える可能性を秘めたものばかりです。
MaaSの実現もしばらくかかりそうですが、その先を見越した取り組みにもぜひ注目していきたいですね。
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