医師不足や医療の偏在、増え続ける医療需要に対して、AIの医療分野への応用により問題を解決しようとする試みがますます進められています。
その一例としてAI病院がありました。日本の医療AIの旗手になっていくAI病院について、詳しく知りたい方は「AI病院とは? 政府の進める医療×AI」をご覧ください。
今回はそんな医療AIの中で、具体的なAIの利用方法として、介護分野や認知症対策を中心に、AI×介護の世界をまとめていこうと思います。
また介護分野以外の具体的な利用方法としては「AI医療 ~AI×検査編~」「AI医療 ~AI×治療編~」をご覧ください。
国が支援する重点6領域
AIはさまざまな領域に導入可能ですが、開発競争が激化する中無駄な投資はできません。厚生労働省は「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」で、重点領域を6つ挙げています。
- ゲノム医療
- 画像診断支援
- 診断・治療支援
- 医薬品開発
- 介護・認知症支援
- 手術支援
今回は「5.介護・認知症支援」に関連した「介護分野」におけるAIの利用を中心にまとめていきます。
AI×介護の世界
ロボット連携型
AIが頭脳となって介護ロボットをコントロールする。それによって人手不足や肉体的負担を改善することが期待されています。
介護における日常業務には重労働が数多く存在します。寝たきりの患者の入浴や排泄介助はその代表例です。
介護ロボットのなかで実用化されているのが「スーツ型ロボット」です。
その代表例はサイバーダイン株式会社のロボットスーツの「HAL(Hybrid Assistive Limb:ハル」)です。
HALは運動を支援するウェアラブルデバイスであり、生体電位を感知し、筋組織の動きを予測することで人間の動作を支援します。これにより脳と強調したスムーズな移動が可能になります。
意思に沿った動作を補助するロボットとして、足腰の弱った患者・力仕事の必要な介護者両方面へのりようが期待されています。
対話・監視型
対話・監視型ロボットは機器に画像認識や言語処理を行うAIを搭載しているのが大きな特徴です。その機能のおかげでこのタイプのロボットは介護対象の状態を把握したり、対話によるメンタルケアを行うことが出来ます。
【AIによる見守り】
画像認識によって介護対象の状況を把握する具体例としては、「IoTベッド」や「徘徊防止システム」などが挙げられます。
介護ベッドをIoT化することで、離床や睡眠状態を正確に把握し、健康管理や転倒予防を行うことが出来ます。
例:スマートベッドシステム(パラマウントベッド)
徘徊防止もAIの導入が試みられている分野です。
リカオン株式会社の徘徊防止システム「LYKAON」は、事前に登録された人物の顔が認識されるとアラート仕組みが搭載されています。これによりすぐに介護対象の徘徊を認識できるため、過剰な拘束など介護者と被介護者双方にとってストレスとなる状況を避けることが出来ます。
例:徘徊防止システム(LYKAON)
【コミュニケーションロボット】
こちらは人との会話を目的に作られたロボットで、私たちにとってもイメージしやすいものですね。このコミュニケーションロボットも介護の分野への導入が取り組まれています。
その目標は「メンタルケア」「運動・レクリエーション」「見守り」「認知症予防」と多岐にわたります。
事務支援型
事務支援型は介護プランの作成などの事務作業をAIに委託する分野です。手間のかかる計画書の作成を大幅に効率化するで、介護福祉士が介護に関する実務に集中できるようになると期待されています。
まとめ
介護分野のAI利用にはロボット連携型・対話監視型・事務支援型などのタイプが存在していることが分かりました。
高齢者が増加する状況の中、今後も介護分野には多くの人手が必要になるでしょう。そんな介護職・医療職の「肉体的負担」「精神的負担」を軽減する手段になっていくAIの出現が待ち遠しいですね。
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