テクノロジーの発達に伴い、AIが話題に上ることも増えてきました。
「AIが仕事を奪う」「AIが人間を超えて支配される」「AIによりできるようになることが増える」等、様々な意見・憶測が飛び交っています。
日常の一部となりつつあるAIですが、AIとは何か?AIがどんなことができるのか?について正しく理解している人は少ないのではないでしょうか
今回はそんなAIについてのお話をしていきます。
AIとは
AIとは「人間にしかできなかったような知的な作業や判断を機械的に行えるようにしたもの」です。
AIは大きく二つに分けられます。
一つが「強いAI」もう一つが「弱いAI」です。
強いAI
強いAIとは人間のような自意識を備え、全認知能力を必要とする作業が可能なAIです。
人間と変わらないターミネーターやドラえもんのようなのです。
これが目指しているAIなのですが、このレベルのAIはまだできていません。
弱いAI
弱いAIとは人間の知性の一部分のみを代替し、特定の仕事だけを処理するものです。
Siriや自動運転など、現在利用され、AIと呼ばれているものはほとんどすべてここに入ります。
弱いAIは強いAIの研究過程で生じたものを応用しているのですね。
人工知能の歴史
人工知能は1960年ごろから始まった試みで、今まで3回のブームを経験してきました。
第1次AIブーム
第1次AIブーム「探索と推論の時代」と呼ばれています。
迷路やゲームなど、ルールが明確に定められた問題において総当たり式で考えることで、最適解を出すのが第1次AIブームの特徴です。
しかし様々な要因が絡み合っているような現実社会の問題を解くことはできず、ブームは終焉を迎えました。
第2次AIブーム
第2次AIブームは「知識の時代」と呼ばれています。
ここで登場したのは「エキスパートシステム」です。
エキスパートシステムとは人間が知識を教えることで、専門家と同程度の判断能力を持つAIを目指しました。
しかしAIが自分で情報の収集・蓄積をすることはできなかったため、世の中にある膨大な情報すべてをコンピューターにインプットする必要がありました。
また人間のもつ常識を教えることは大変な困難を伴います。
この二点がボトルネックとなり第2次AIブームは終焉します。
第3次AIブーム
第3次AIブームは現在も続いています。今がAIブームの真っただ中だったとは驚きですね。
第3次AIブームでは機械学習とディープラーニングにより機械が自分で学習することが大きな特徴です。
機械学習とディープラーニングとはどのようなものか見ていきましょう
人工知能の現状
現在の人工知能を特徴づけるのは先ほども出てきた機械学習とディープラーニングです。
機械学習
機械学習とは機械に学習させる仕組みです。
従来の機械学習では、注目すべき特徴(特徴量)を人間が教え、その上で大量のデータを用いることで人工知能自身が知識を獲得します。
この画像では「りんごとはどのようなものか」を機械学習にてAIが学んでいます。
まず人間が色や形というような注目すべき特徴量を指示します。その後AIが大量のリンゴのデータを見ることで「どの色のどの形のものがリンゴといえるのか」と学習するのです。
エキスパートシステムと比べると人間による入力が大幅に減っており、まさに機械が自分で学んでいることが分かります。
ディープラーニング
その後登場したのがディープラーニングという技術です。
ディープラーニングでは上図のような多層的なニューラルネットワークを使います。
このニューラルネットワークに情報を入力すると、コンピューターがパターンやルールを発見する時に注目すべき特徴(特徴量)を自ら抽出することが可能となります。
そのため何に着目するかをあらかじめ人間が支持する必要がなく、データを入力するだけで学習していくのです。
ディープラーニングは機械学習という仕組みの中で使われる技術です。なので「ここではディープラーニングによる機械学習」と呼びます。
上の画像は同じくAIがりんごについてディープラーニングによる機械学習を行っているところです。
先ほどと異なり、特徴量を指示する人間がおらず、自分でそれを発見していることがわかります。
この特徴量を自分で見つけるというのが人工知能における大きなブレイクスルーだったのです。
ハイプサイクルから見るAI
ハイプサイクルとはガードナーという会社が毎年発表する、「テクノロジーの地図」のようなものです。ハイプサイクルについて詳しくはハイプサイクルとは? ~現在のテクノロジーが一目で分かる~をご覧ください。
こちらがAIのハイプサイクルです。
既に商品に搭載され活躍しているイメージのあるAIですが、ここ数年で幻滅期に入ってきました。
AIの本領はまだ発揮されておらず、ここからより身近な存在として普及していくという段階なのですね。
AIの得意なこと・苦手なこと
このような技術を用いて徐々に人間の思考に近づいてきているように思えるAIですが、その長所と短所はどうなのでしょうか。
AIの得意なことは効率化や負荷の軽減です。人間が行ったら何時間かかるかわからない作業の時間を短縮してくれます。
また弱いAIであっても運転や家電サービス、画像認識を駆使した安全管理などの単純業務はすでに人間を超えています。
AIの苦手なこととしてプログラムされていない想定外の状況への対応があげられます。
またクリエイティブさやリーダーシップもしばらくは人間の専売特許となりそうです。
まとめ
現在のAIは特徴量の発見はできても、あくまで弱いAIなため、データの入力と目的の設定を必要とします。
そのため私たちにとってAIは幅広いデータから最適解を出す「超高性能な計算機」のような存在です。
AIに仕事を奪われるというだけではなく、AIは仕事に変化をもたらし、生活を改善する道具になるという認識が大切だと考えます。
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