トヨタ未来都市「Woven City」 ~自動車業界が向かう先~

テクノロジー企業

自動車業界は今激動の最中で「100年に一度の大変革期」と言われています。MaaSやCASEといった新しい波に対し各社はどのように取り組み、どこを目指しているのでしょうか?

今回はそんな変化に対するトヨタの方針やその一例である「Woven City」についてまとめていこうと思います。

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「CASE」とは?

CASEとは自動車業界が今後どの分野に注目してビジネスすべきかを示した指標です。2016年のパリモーターショーにおいて、メルセデス・ベンツの会長を務めるディエター・チェッチェ氏が発表した中長期戦略の中で用いたのが始まりでした。

  • Connected(コネクテッド):インターネットへの接続
  • Autonomous(自動運転)
  • Shared & Services(カーシェアリングとサービス)
  • Electric(電気自動車)

この四つの指標の頭文字をとったのがCASEであり、それは自動車業者視点の目指すべき姿と言えます。

移動に関する分野で有名な言葉として「MaaS」があります。MaaSは人々の移動をより便利に快適に、環境に負担をかけずに行えるかという考えです。MaaSについてより詳しく知りたい方は「」をご覧ください。

つまりMaaSは利用者視点・社会視点で公共交通などのモビリティ全体を対象としているのに対し、CASEはその一部を事業者視点で捉えている点が大きな違いなのです。

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トヨタ未来都市「Woven City」

このような変化の激しい時代の中、CASEの実現にに各事業者が血眼を上げています。ですが自動車業者たちは最終的にどこを目指すべきなのでしょう?

トヨタの未来戦略

そんな漠然とした不安に独自のアプローチを見出したのがトヨタです。トヨタが出した答え「移動を含めたあらゆるサービスのプラットフォームとなる都市を創る」でした。

Woven City HP よりより

トヨタは2020年に実証都市「Woven City」の計画を発表します。これは日本でも大きなニュースとして取り上げられました。

Woven Cityはトヨタ東日本東富士工場の跡地70万平方メートルに建設予定で、そこではCASEやMaaS、パーソナルモビリティ・ロボット、スマートホーム、AIなどのテクノロジーを導入し検証が行われる予定です。

住んでみたいなーと思うかもしれませんが、まず初期はトヨタ従業員やプロジェクト関係者など2000名が移住予定で、一般の公募はありません。。

なぜトヨタはWoven Cityを創るのか

MaaSを含む無数のサービスを統合するには巨大な器が必要です。その答えの一つに「デジタル空間のプラットフォーム上に作る」という考えがあります。しかし、トヨタはそれだけでは不十分だと判断しました。

まずはvirtual世界の街に様々なアイデアやサービスを検証し、それを現実の街つくりに反映することが出来る器が今後の社会に必要になると判断したのです。

Toyota UK youtubeより

その意味するところは非常に重要です。トヨタはこの計画で「独自のデジタルオペレーティングシステム」を創るという方針を打ち出したのです。

例えば現在スマホのOSにはGoogleのアンドロイドとAppleのiOSがあります。この2社がスマホのオペレーティングシステムを展開し、各社や個人はそのサービスの中でビジネスをしています。今回のトヨタの未来都市計画は、このオペレーティングシステム時代を一から創ろうという試みです。

トヨタは他社の基盤の上でサービスを創るという方針ではなく、独自にこの基盤を創るという決意をしたのです。

Googleが取り組んだ未来都市計画

未来都市を創ることでスマートシティという新しいプラットフォームを築こうとしているのはトヨタだけではありません。

Googleの兄弟会社の「Sidewalk Labs」は17年トロント市の再開発事業のパートナーとして名乗りを上げ、スマートシティプロジェクトとして始動させました。

新たな街つくりでは、低価格でよりサステナブルな建築資材の利用、次世代モビリティの導入、都市空間におけるデータを収集し、都市課題解決に利用する取り組みなどが計画され注目を集めていました。

まさに交通・住居・建物・公共空間・デジタルインフラなどを包括的に盛り込んだ、自動運転社会を想定した世界初の本格的なスマートシティ計画でした。

「マイカーからの解放」という明確なビジョンを掲げ、あらゆる移動に対して安全で便利、コネクテッドされた手ごろなオプションを提供する結果として、マイカー保有の必要性を低下させる交通システムの実現を目指しています。

ですが2020年5月にこのプロジェクトは頓挫します。Sidewalk Labsは「経済の不安定さが増したことにより、不動産市場の先行きが不透明になり、プロジェクトの収益性を維持することが困難である」との声明を発表しこのプロジェクトから撤退しました。

コロナウイルスによる影響に加え、データ利用を巡り自治体・住民と企業の思惑にずれが生じたりしたことが原因と考えられます。

まとめ

100年に一度と言われる変革の自動車業界において、新たなプラットフォーマーになるという方針を打ち出したトヨタの取り組みを中心にまとめてきました。

日本最大企業の大方針であり、ニュースでも大々的に取り上げられたため、大変な注目が集まっています。まだ建設段階ですが、今後も目が離せませんね。

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