宇宙分野は40兆円の市場規模を有しており、今後は宇宙×〇〇といった利用が進んでいくことが予想されます。今回は宇宙技術がどのようにビジネス利用していくのかを中心にまとめていこうと思います。
宇宙開発の歴史や市場規模などの現状といった基礎知識についてより詳しく知りたい方は「宇宙開発の歴史と現状」をご覧ください。
市場セグメント
宇宙へのアクセス
この分野は宇宙空間にモノや人を打ち上げることを目的とします。ロケットの開発や製造、打ち上げサービスが中心です。
全ての宇宙ビジネスに影響を与える、宇宙ビジネスの根幹で、現在様々な企業が参入し、盛り上がりを見せています。
衛星インフラの整備
人工衛星の開発製造や軌道上での運用を中心に行います。
多くの衛星を打ち上げて互いに連携させることで、衛星ネットワークを基盤とした宇宙インフラを築きます。それをベースにして衛星データサービスを行うのです。
ドコモやau、ソフトバンクなどの携帯キャリア各社が懸命に通信基地局を作り、それをベースに通信サービスを行うのと同じことを宇宙規模で行おうと強いるのですね。
衛星データ利活用
整備されたインフラをもとにサービスを行います。地上で活動する個人や産業、社会が宇宙技術を利用する橋渡しをする分野です。
デジタル化やIoT化の中で、宇宙技術がこれらに貢献し、後押ししていくことが予想されます。
整備された携帯ネットワークというインフラを使って、SNSやeコマースなどのビジネスを行う分野というイメージでしょうか。実際に私たちが宇宙を利用する時の窓口となるような企業はおそらくこの分野に入るのでしょう。
軌道上サービス
スペースデブリ(宇宙ゴミ)の回収や、無重力を利用した実験設備のレンタルを行います。
個人向けサービス
一般消費者向けの宇宙旅行や宇宙ホテルを提供する分野です。他にもエンターテイメントやスポーツなど多くの分野での利用が期待されています。
深宇宙探検
宇宙ビジネスの多くは地球の周辺で進みます。深宇宙探検はそれらとは異なり、月や火星、小惑星の開発を行う分野です。
地球環境・エネルギー問題の解決や人類社会の持続可能性を目指したフロンティア精神あふれる分野です。
宇宙×〇〇
宇宙×自動運転
衛星を使用した高精度測位と農業・交通・物流分野の掛け算で自動運転が改善されます。
従来は高額だったため、高精度測位は測量分野の利用が中心でした。ですが、衛星を利用することでコストが10分の1ほどになったため、センチメートル単位の性格ない位置情報を利用する分野が増えてきました。
現在発達している自動車の自動運転には高精度の位置情報が必要です。また農業分野のトラクター自動運転、物流分野のドローンなど、レベルの高い位置情報の利用は様々な分野で必要になります。
宇宙×保険
保険と宇宙は一見関係なさそうですが、「リスクをいち早く察知する」ために宇宙の利用は有効な手段です。
近年世界的に異常気象が顕著になっています。それに伴い天候リスクの回避・準備への需要がより高まっています。
観測衛星からの画像(各地の水温や降雨量)を大量に集め、AIで分析することで、異常気象や災害をあらかじめ予測することが可能になります。
- 鉱山開発に大きく影響する降雨予想
- 養殖事業での海水温変化による生育不良
- 電力小売り業や食品の猛暑・冷夏による販売変動
これらを始めとする幅広い分野で利用可能です。
宇宙×漁業
漁業分野で衛星データ利用を進めている企業は「ウミトロン」というデータサービスベンチャーです。
ウミトロンのデータサービスは衛星画像・生簀内カメラ・遺伝子データの3つを利用します。
- 衛星画像:広域プランクトンの分布や海面温度をモニタリングすることで異常気象や魚の生育リスクを分析します。
- 生簀内カメラ:魚がえさを食べているかどうかや生育状況、また遠隔監視に利用されます。
- 遺伝子データ:海水サンプルを遺伝子解析することで、赤潮の発生を予測できます。
これらのデータを利用しながら魚の動き、生育状況、リスクについて分析し、サービスとして提供します。
宇宙×創薬
宇宙の微小重力を利用した実験が盛んにおこなわれているのが創薬の分野です。
特に中心となっているのが高品質タンパクの結晶実験です。宇宙でタンパク質を結晶化すると、重力の影響を受けないためきれいに出来上がります。薬の種を探す過程がシンプルになるでしょう。
ペプチドリームというベンチャー企業は、この創薬開発プラットフォーム作り出しています。
その他の分野
現在行われている宇宙との掛け算では
- 宇宙旅行
- 宇宙エンターテイメント
- 宇宙太陽発電
- 資源探索
宇宙に取り組む企業
宇宙ビジネスの多様性が花開く現在において中心となるプレイヤーをまとめていきます。詳しく興味のある方は「宇宙に取り組む企業」をご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
宇宙の利用というと私たちにはあまり関係のなさそうな分野です。しかし衛星データをどのように利用するかは多岐にわたっているのです。
今回紹介したのは宇宙技術の利用のほんの一部にすぎません。宇宙ビジネスが今後どのように変化していくのか注目ですね!
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