宇宙エレベーター ~実現するか⁉宇宙への扉~

テクノロジー応用編

スペースXやブルーオリジンなど民間のロケット打ち上げ企業が話題を集めています。これらの企業は宇宙へのアクセス改善を目標にしています。

今回はこれらの企業とは別の角度からの宇宙アクセス改善の取り組みである「宇宙エレベーター」についてまとめていきます。5GやARのような差し迫った変化ではありませんが、私たちに及ぼす影響の大きさとワクワク度は無限大です。

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宇宙開発の歴史と現状

現在アメリカのIT長者やホリエモン(堀江貴文)、前澤社長が宇宙に関心を示しているように、宇宙開発がとてもホットな話題になっています。 

宇宙開発の歴史や市場規模などの現状といった基礎知識についてより詳しく知りたい方は「宇宙開発の歴史と現状」をご覧ください。

そしてその第3ステージの変化によって民間企業の参入と多様性が生じました。その中で誕生した「宇宙×〇〇」といった宇宙ビジネスについて詳しく知りたい方は「宇宙技術のビジネス利用 ~宇宙×〇〇の時代へ~」をご覧ください。

また、現在を代表する宇宙ビジネスのプレイヤーについてまとめた「宇宙に取り組む企業」もおすすめです

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宇宙エレベーターの歴史

宇宙エレベーターの先駆者

宇宙エレベーター」という発想が初めて生まれたのは100年以上も前のことです。

ロシアの「ツィオルコフスキー」が初めて考え、その後著書で紹介されました。「赤道上から天に向かって塔を建てると、いずれ遠心力と引力が釣り合うため自立する」というスケールの大きな発想です。

ツィオルコフスキーはこのアイデアをパリのエッフェル塔を見て思いついたと言われています。

宇宙エレベーターの実現可能性についての研究

2000年にNASAの依頼により、宇宙エレベーターの実現可能性についての体系的な研究が行われました。エドワード博士が中心となって行ったこの研究の結果は、「十分な軽さと強さを持つ材料が開発されれば、宇宙エレベータは建設可能である」というものでした。

素材の開発という点以外においては、この突拍子もない構想が技術的に実現可能であるということは本当に驚くべきことですね。

宇宙エレベーターの仕組み

カギになるのは静止衛星

宇宙エレベーターの建設において避けて通れないカギが「静止衛星」です。

静止衛星は高度3万6000キロにある衛星のことです。この高さにある衛星は地球の自転速度とほぼ同じ側とで地球の周りをまわっています。そのため地球から見るとこの衛星は、宇宙の一点で止まっているように見えるのです(実際は遠すぎて見えない)。

参照:「宇宙エレベーター」石川憲二著

つまり、東京の上空に配置された静止衛星からエレベーターを下ろせば、地球の自転や天候に関係なく、そのエレベーターは動かず静止しているということです。

もちろん地上に向けてのみエレベーターを伸ばせば、重心が地球に近づき、引力が遠心力を上回るため、衛星は地球に落下してしまいます。静止衛星から上下にバランスよく力のかかる構造物を創れば、宙に浮かんだまま長くなっていく建設物ができるのです。

エレベーターは宇宙から作る

ここからは宇宙エレベーターの作り方です。

参照:「宇宙エレベーター」石川憲二著

1.中心となる中心となる宇宙ステーションのような静止衛星を3万6000キロまで打ち上げる

2.遠心力と重力が釣り合うように気を付けながら、静止衛星から上下にモニターを伸ばす
(地上まで3万6000キロ、上側には15万キロ延ばせば釣り合う。月までの距離が38万キロであることを考えるといかに巨大かが分かりますね。)

3.下に延ばしたケーブルが地上に届いた段階で固定する
(地球の重力の微妙な変化や天候にも対応できるような人工島を海上に作るのがベター)

4.細いケーブルを補強し、小さなキャリアで必要な資材を運ぶ

5.エレベーターとは異なり、電気駆動のモーターを搭載して自力で昇降するクライマーをつける
(上下に動くモノレールのような仕組み。時速300キロメートルが想定されているが、それでも上るのに一週間程度かかる)

スカイフック ~もう一つの宇宙エレベーター~

スカイフックとは、「地球表面との固定を前提としない宇宙エレベーター」のことです。

地球に向けて伸ばしたエレベーターの下端を、大気圏すれすれの高度100㎞ほどに留めます。そして地上から高度100㎞まではジェット機にロケットエンジンをつけたような簡易宇宙船で行くのです。

参照:「宇宙エレベーター」石川憲二著

スカイフックは簡易宇宙船を挟む分、荷物に制限がついたりアクセスが悪くなったりする可能性があります。しかしスカイフックの利点は「不安定な地球の重力や天候といったリスクを回避できる」という点にあります。

今後の展開によって地上設置型がいいのか、スカイフック型がいいのか、または新しいモデルが誕生するのか非常に楽しみですね。

まとめ

今回は宇宙へのアクセス革命の可能性を秘めた宇宙エレベーターの歴史と仕組みについてまとめてきました。

夢のような話ですが、実現にむけたプロジェクトがいくつかの企業で始まっています。次回は宇宙エレベーターのメリットや課題、現状についてまとめていこうと思います。

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