5Gの現状とこれから 

5G

5Gは今や必ず知っておきたいホットなテクノロジーの知識となってきました。

前回は5Gの特徴や出来るようになること、通信の進歩についてまとめ、世界がどう変化するのかについて整理してきました。詳しく知りたい方は話題の5Gで世界はどう変わる?をご覧ください。

「未来感はすごかったけど、本当にすぐこんな風に変化するの?」と思った方もいるのではないでしょうか。

今回はそんな5Gの現状とこれからについてのお話になります。

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日本でも5Gサービスが始まる

2020年3月末から日本でも5Gサービスが始まりました

ちなみに世界初の5Gサービスは2019年にアメリカと韓国で始まりました。

ドコモ、KDDI、ソフトバンクをはじめ、携帯キャリアのCMなどで目にする機会が増えてきています。

各社のサイトをのぞいてみると5G対応の料金プランやスマートフォンなどが紹介されており、その盛り上がりが伝わっていきます。

5G対応の商品を大々的に取り扱うドコモのHP
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5Gのハイプサイクルは?

そんな盛り上がりを見せる5Gについてハイプサイクルの面からみてみましょう。

ハイプサイクルとはガードナーという会社が毎年発表する、「テクノロジーの地図」のようなものです。ハイプサイクルについて詳しくはハイプサイクルとは? ~現在のテクノロジーが一目で分かる~をご覧ください。

5Gのハイプサイクルがこちら!

2020年の5Gは過度な期待のピーク期であるとのことです。

5Gのサービスが始まり、ここまで盛り上がっているなら啓蒙活動期か生産の安定期かと思いきや、この結果は驚きですね。

実は現在始まっているサービスはまだ5Gの本命のサービスではないのです。それを説明するために5Gの電波についての少し技術的な話をしていきます。

5Gは2種類の電波で成り立っている

電波は携帯電話以外にも、ラジオや各種無線などに使われています。

そのため様々な電波が混合しないように、各種サービスに特定の周波数の電波が割り当てられています。

出典:総務省 周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴

上図を見てみると4Gは3.60GHz未満の周波数のみでしたが、5Gは二種類の電波が使われていることが分かります。

それがミリ波Sub6です。

1.ミリ波

5Gの本命はこのミリ波なのです!

ミリ波とは28~300GHzの帯域の電波です。

ミリ波を使えば「高速大容量」「超低遅延」「多数同時接続」という5Gの三つの強みを生かすことができます。

「じゃあ全部ミリ波でいいじゃん」と言いたくなるところなのですが、ミリ波には弱点が存在するのです。

ミリ波の弱点その1:直進性が強い

ミリ波は上の図の右上にも書いてあるように、直進性が強い電波です。

そのため電波が届く範囲が狭くなっていしまいます。一つの基地局はワンフロアほどの面積しかカバーできません。

ミリ波の弱点その2:障害物に弱い

二つ目は障害物に弱いことです。直進性が強いため、電波が障害物にぶつかった時に電波の回折(回りこむこと)が起きません。そのため雨・壁・地下などの状況下で通信が障害されやすくなります。

ミリ波の弱点その3:新しい基地局が必要

三つめはミリ波専用の新しい基地局を作る必要があることです。ミリ波は4G時代の基地局を使うことができず、電波の届く範囲が狭いため、はるかに多くの基地局を設置する必要があるのです。

2.Sub6

Sub6は4Gを進化させたような電波で、全く新しい技術ではないのですがミリ波の弱点を補ってくれます

そして大手キャリアで始まったサービスはこのSub6を使ったものです。

Sub6は「6GHz未満」という意味を持つ電波で、実際は3.6GHz~6.0GHzの帯域が使用されています。

Sub6の強みは電波の届く範囲が広く・遮蔽物にも障害されにくいことです。

またSub6は4Gの基地局をそのまま使うことができます。そのためコスト・時間が少なくて済み、比較的早期から利用することができるのです。

しかしSub6では高速大容量のみで低遅延・多数同時接続は不可能です。

5Gのこれから

出典:野村総合研究所 5Gについて

ミリ波には様々な課題があり、Sub6は比較的早期から利用可能な電波であることが分かりました。

そのためしばらくは上図の「5G展開(前期)」のように4GとSub6の併用になるでしょう。

ちなみに上図の「NR」というのは New Radioの略で5Gを成立させる技術です。「4G LTE」のように「5G NR」という使われ方になります。

現時点ではSub6の5Gサービスも全地域で行われているわけではなく、2022年ごろにSub6が全地域で、2025年ごろまでにミリ波が普及するといわれています。

Sub6でも500Mbpsほどの通信速度がでる(私の現在のスマホは4Gで30Mbpsほど)ので十分高速ですが、5Gの本命の超低遅延・多数同時接続のサービスは少しおあずけになります。

サービスが始まっているにもかかわらず、ハイプサイクルで「過度な期待のピーク期」いわれた原因はここにあったのですね。

5Gの次の時代へ

もちろん通信技術の進化は5Gで終わりではありません。10年ごとに進化してきたことを考えると2030年ごろには6Gが誕生するでしょう。

6Gは5Gの普及によって生まれた課題を解決する手段になるはずです。

想像の段階でしかありませんが、5Gの動画は4K・8Kまでは実現できますが、3Dのホログラムに対応するには不十分です。また5Gの多数同時接続では、街の隅々までマイクロチップを埋め込んで詳細なデータを取ることまではできないでしょう。サマーウォーズのOZ(オズ)のような世界もまだまだ先です。

実際に企業や政府は5Gの次の時代を見据えています

出典:総務省 Beyond 5G 推進戦略

私たちにはまだ遠い話ですがどのように世界が変化していくのでしょうか。

まとめ

5Gのサービスが始まりましたがあくまでSub6でのサービスで、ミリ波の本領を発揮するのはまだしばらく先の話になりそうです。

2020年のハイプサイクルは「過度な期待のピーク期」なため、ミリ波の普及に伴って「幻滅期」「啓蒙活動期」が予測されます。

5Gへのイメージや期待は変化し続けるでしょうが、先を見据えるワクワクした心を持って各変化を見守りたいですね!

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