リブラ(Libra)という仮想通貨をご存じでしょうか?
仮想通貨はビットコイン・イーサリアム・リップルなどが有名ですが、2019年に最も注目を浴びたニュースの一つがこのリブラの誕生です。
今回はそんな世界中を揺るがしたリブラについて、リブラとは何か?リブラの特徴・目的をまとめてきます。
リブラとは
リブラとはFacebookが2019年6月に発表した、ブロックチェーンベースの仮想通貨です。
リブラは28社の大企業(リブラ協会)がバックについており、その影響力の大きさから発表されるとすぐに世界中で話題になりました。
リブラは「シンプルで国境のない通貨と金融インフラの構築」を目指しています。
2020年12月にLibra(リブラ)からDiem(ディエム)に改名しました(以下ややこしいため一貫してリブラと呼びます)。
このサイトでは、リブラの特徴・目的・課題・世界に与えた衝撃・ここまでとこれからについて分かりやすくまとめていきます。
リブラの特徴
ステーブルコイン
リブラの大きな特徴として価格が安定したステーブルコインであるということです。
リブラ協会の大企業たちが、リブラの価値を保証することで、価格の乱高下を防ぎます。具体的には、発行されたリブラの総価格より多くの資産をリブラ協会がリザーブしておくことで、通貨に信用を持たせる仕組みです。
ビットコインは需要と供給で価格が乱高下するため、価値の尺度(通貨)として不適切でした。リブラのステーブルコインという仕組みは、力のある企業がバックにつくというアプローチでビットコインが通貨になれなかった理由を克服しています。
この特性からリブラは世界中で使える現金のような、ポジションを狙ったのです。
リブラ協会が中心になって管理
ビットコインは誰でも管理に参加可能なオープンブロックチェーンを利用し、特定の発行者・管理者が存在しない仮想通貨でした。
それに対し、リブラはプライベートブロックチェーンを利用しています。これにより通貨の発行や取引の記録の担い手はリブラ協会のメンバーのみとなります。
中心的な管理者を置くメリットは、リブラの取引の記録の効率化です。そのため決済の即時化や手数料の低下に貢献、膨大な情報量を扱うことができるようになるでしょう。
このように中央集権的な仮想通貨という特徴もリブラが持つ一面です。
リブラの目的
銀行口座を持たない人にも金融サービスを届ける
日本では成人の97%が銀行口座を持っていますね。
ですが世界ではこの状況は当たり前ではありません。世界には17億人が銀行口座を持っていないため、貯金や送金・決済などのサービスを受けられないのです。これは実に成人の30%に該当します。
ですがその17億人のうち10億人はスマホを所有しています。リブラはここに目を付けました。
スマホ一つで口座を持てて、どんな人でもあらゆる金融サービスを受けられるようにすること(金融包摂)がリブラが掲げる目的の一つです。
リブラ協会参加者の各ビジネスとの結び付け
リブラ協会の参加企業は当然リブラの恩恵を受けるために加入しています。そのため積極的に自らのビジネスとリブラを結び付け、飛躍を狙っていくでしょう。
ここからはFacebookを例に挙げて進めてみます。
Facebookのサービスと連携させれば、メッセージやいいねを送るくらい簡単に、お金のやり取りを行うことができます。実際に中国のTencent(テンセント)は自らの展開するSNSとWeChatPayという決済サービスを結びつけて、簡易な個人間送金を可能にしています。
また1いいね=1リブラのように、Facebookの中の活動とリブラの換金を可能な仕組みにすることで、さらにアプリケーションの活性化につながるでしょう。
Facebookを例に挙げてきましたが、この掛け算があらゆる企業のビジネスに関わり、優位性を持たせることになっていきます。
お金のビッグデータの収集
ビッグデータとは「分析することで経済的価値が生み出せるデータ」のことです。ビッグデータは21世紀の石油といわれるほど価値の高いもので、どの分野のデータを誰が握るのか注目が集まっています。より詳しく知りたい方は、「ビッグデータとは 世界中の企業が求め争う「21世紀の石油」」をご覧ください。
リブラによって、「誰が」「いくら保有し」「いつ」「何に」「どれだけ使ったか」というお金のビッグデータをリブラ協会が握ることができます。
各個人のお金の使い方を分析して、最適な広告を打ったり、信用スコアをつけて利用するなどその利用方法は留まるところを知りません。各企業がしのぎを削って電子決済の分野で覇権を狙っているのも、勝者がお金のビッグデータを総取りできるというメリットがあるからです。
リブラ協会が強い権限を握る
お金のビッグデータに加えてリブラ協会が手にするのは「通貨を発行する権利」です。
これは今まで国しか持っていなかった権力で、この力を利用して金融政策や経済政策を行ってきました。しかしリブラがこの通貨発行権を握ることで、これらの政策がリブラ単位で可能になります。
リブラは発表早々、各国から「国家の通貨主権を脅かした」として猛反対を受けますが、その理由はこれが原因なのです。
リブラのその後と現在
既存のシステムを脅かしかねない力のせいで、発表後からリブラは国家や中央銀行からの逆風を受けます。
後編ではリブラの抱える問題点やリブラが世界にもたらした影響、ディエムという名前に改名した現状についてまとめてあります。
興味のある方は「リブラ発表による世界の反応とディエム改名」をご覧ください。
まとめ
リブラとは何か?リブラの目的・特徴についてまとめてきました。
「世界中で誰もが使える圧倒的な通貨を作り、そこから生じる権力やビッグデータを握っていこう」というのがリブラプロジェクトの概要でした。
後編ではリブラの現在までの歩みがまとめてあるのでそちらも是非お読みください!
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