リブラに関する基本知識の後編です!
前編は「リブラとは何か?」「その特徴と目的」についてでした。。より詳しく知りたい方は「リブラという仮想通貨」をご覧ください。
後編では「リブラ発表が世界にもたらした衝撃」と「リブラの課題」、そして「2020年12月のディエム(Diem)への改名」をについてまとめていきます。
世界中の注目を集めたリブラが歩んだ過程と現状についての知識を整理していきましょう!
リブラが引き起こした衝撃
世界の反応
リブラが引き起こした最大の衝撃は「各国の通貨主権を揺るがす」という点に由来します。
全世界で使える圧倒的に便利なリブラのような通貨ができれば、各国の法定通貨は誰にも利用されない状況になってしまいます。価値のある通貨を国が持てなくなるということは、金融政策や経済政策の主導権を失うことを意味しており、その国家が権力を失うことに直結するのです。
そのためリブラは発表直後からG7政府・各国中央銀行・IMF(国際通貨基金)から猛烈な反対を受けました。
その反対を受け、VISA、masterカード、PayPal、ウーバーなどの主要メンバーがリブラ協会から離脱しました。
CBDCの加速
それと同時に各国がCBDC(中央銀行デジタル通貨)への取り組みを加速させる原因にもなりました。各国の中央銀行が独自のデジタル通貨を作り、リブラに対抗する必要が生じたのです。
CBDCとは各国の中央銀行が発行するデジタル通貨です。企業がリブラの背景につきその価値を保証したように、CBDCでは国家がその背後につき価値を保証します。現在のテクノロジー分野で非常にホットな話題であるCBDCについてもっと詳しく知りたい方は「CBDCとは? お金がテクノロジーの力で新しく生まれ変わる!」をご覧ください。
リブラの課題
Facebookの27億人ものユーザーを背景に、リブラという圧倒的便利でグローバルな通貨を作ろうとしていることが分かりました。さらにお金のビッグデータや通貨発行権を持ち、従来の金融システムを揺るがす可能性もあるのですね。
そんなリブラの抱える課題は何なのでしょうか?
犯罪資金対応
国際送金を低コストで行えて、銀行のように厳格な身分保障を必要としないリブラは、犯罪者の隠れ蓑に利用されてしまう懸念があります。
テロ組織の資金調達や資金洗浄、犯罪資金の対策がどこまでできるかが課題となってきます。
個人データの保護
Facebookの個人データ保護は今までもたびたび問題になってきました。
個人のデータやお金のビッグデータをFacebookがちゃんと保護できるのか?リブラ協会が手に入れたデータを乱用しないか?
データ利用に関して悪名高いFacebookが中心となるデータ利用システムを世間は信用していないようです。
複数通貨のリザーブ
リブラの価値はドル・円・ユーロなど複数の通貨をリザーブして価値を保証することで、これらと連動する仕組みでした。
そこには「一か国にとらわれない真にグローバルな通貨を目指す」という意図がありました。ですがこれによりリブラが最も便利でグローバルな通貨になると、世界の基軸通貨のドルや各国の通貨を脅かしてしまいます。
営利目的の企業群が超国家的な力を持ち金融政策や経済政策の能力を手にすると、どのような影響を資本主義社会にもたらすのかも懸念材料です。
各国が全力でリブラ構想に反対したのもこれらの点を問題視したからです。
2020年12月にリブラはディエムと名前を変えました。この時ドルを基軸通貨としたものに移行しており、この問題について国家への妥協を見せました。
ディエムへの改名
2020年12月Libra(リブラ)からDiem(ディエム)に改名しました(ここから先ディエムと呼びます)。それに伴いリブラ協会もディエム協会という名前に変化しました。
ディエム解明への目的は「独立性の協調」です。Facebook色を薄め、協会の参加企業など特定の企業に肩入れすることなく、あくまでディエムというサービスの普及を目指すという意図のようです。
また解明の際に見られた注目すべき変化が「ドルを基軸通貨とするステーブルコイン」への移行です。複数の通貨をリザーブし国際的な通貨となることいったん断念したのです。
激しい反対を国家から受け、いったん国家に妥協した形となりました。
ディエムは2021年にスイスで許可を得て発行することを目指しています。日本で扱える日がいつになるかは不明ですが、スイスでは今年利用開始になる可能性があるのですね。
まとめ
リブラはその影響の大きさゆえに既存の金融機関からの逆風を受け、ディエムへとリメイクした後での再スタートとなりました。
仮想通貨の価値を安定させて、法定通貨のように扱えるシステムはまだ始まったばかりです。リブラが達成できるかは不明ですが、誰かが必ず成し遂げるでしょう。
Diem(ディエム)の動きもまだ始まったばかりで注目が必要ですね。
コメント