ブロックチェーンの特徴と利用

テクノロジー基礎編

前回はブロックチェーンとはどのような技術かについてお話ししました。

ブロックチェーンという技術やその仕組みについて復習したい方はこちらをご覧ください。

今回はそんなブロックチェーンの持つ利点と問題点、そして利用方法や現状に焦点を当ててまとめていこうと思います。

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ブロックチェーンの利点

システムダウンしない

一つ目のブロックチェーンの利点は「システムダウンしないこと」です。

従来のデータ管理は中央集権型だったため、メインのサーバーにトラブルが起こればすぐに全体の運用が止まってしまいます。これは大きな企業が提供するトラブルにおいてもたびたび見られます。

ブロックチェーンではメインサーバーが存在せず分散してあるので、どのコンピューターにトラブルが起きても全体は何のダメージも受けません。システムの停止が大きな痛手となるサービスにおいてはありがたいメリットです。

データの改ざんが不可能

二つ目の利点は「データの損失や書き換えの可能性がないこと」です。

詳しい仕組みや理由については上記の記事をご覧ください。ブロックチェーンではすべてのブロックのデータがつながっているため、一つ書き換えるにはすべてのブロックの改ざんを行わなければいけません。理論上は可能なのですが、コストがとてつもなくかかるため抑止力となっているのです。

運用コスト

三つ目の利点は「運用コスト」が安いことです。

中央集権型のデータ管理を行うにはサーバー(企業の巨大なコンピュータ)を用意し、維持管理しながら運用を行わなけらばいけません。そしてそこには高額の初期投資が必要になります。ブロックチェーンでもマイニング(箱詰め)作業を行わなければいけませんが、従来の方法に比べてはるかにコストが安いです(採用するコンセンサスアルゴリズムによる)。

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ブロックチェーンの問題点

システムの変更が困難

まず一つ目の問題点は、「一度始まったシステムの変更が極めて難しい」ことです。

中央集権型の管理では、鶴の一声により状況に合わせた柔軟な対応をとることができます。しかしブロックチェーンでは参加者が対等な関係にある(P2Pという)ため、システムの開始後に介入できる強力なプレイヤーがいません。これは柔軟な変更や対応が求められる分野では大きな問題点になるでしょう。

頻度の高い取引に難あり

二つ目の問題点は、「頻度の高い取引に不向き」だということです。

クレジットカードなどの現在のシステムは毎秒ごとに大量の取引が生じ、それをさばいています。

しかしブロックチェーンにおいては、取引(トランザクション)がブロックに箱詰め(マイニング)されるまでは保証されていないのです。例えばビットコインでのマイニングは10分に一度行われます。通常の通貨決済で10分間取引が保証されないのは非常に不便です。

各仮想通貨はマイニング方法を工夫して、取引完了までの時間短縮に努めています。

またすべての取引がオープンで行われるため、プライバシーやセキュリティの不安も残ります。

~少し寄り道~ ビットコインのマイニング

「ビットコインのマイニングがすごいことになっているらしい」というお話を聞いたことがある方もいると思います。本筋からは少しそれますがビットコインのマイニングの現状について小話です。

マイニングとはトランザクション(取引のデータ)をブロックに箱詰めすることです。

マイニングをする人(マイナー)のおかげでビットコインの取引が保証され成り立っています。そんなビットコインのマイニングは誰が行っているのでしょう?

答えは世界中の自由参加者たちです。

みんなで一つの問題を解き、解けた人がマイニングの権利を手にします。そしてマイニングをした人にはビットコインでの報酬が払われるのです。最新のブロックのマイニングには7ビットコイン(2020年12月4日時点で約1400万円の報酬が支払われています。ものすごく高額ですね。

この高額な報酬目当てのマイナーが増加したにもかかわらず、マイニングの枠は10分に一つしか与えられないようになっているため、競争が激化、解かなければいけない問題の難しさも上昇しています。

そんなマイニングに成功するためには国家予算レベルの超高性能なコンピュータと莫大な電力が必要です。実際2018年アイスランドではマイニングに使われる電力が全一般家庭で使われる電力を上回るという事態が生じました。もはや個人が戦えるレベルではなく世界中のマイナーカンパニーが報酬をめぐってしのぎを削っています。公共性を保つためには必要なのかもしれませんが、競争に敗れた多くのマイナーの消費した資源が無駄になってしまうことはビットコインの問題です。

中央集権型ブロックチェーンというアプローチ

パブリックチェーン

今まではパブリックチェーンについてのお話がメインでした。パブリックチェーンは、誰でも自由に参加することができるシステムです。そして分散型・非中央集権型・改ざん困難という三つの特徴を持つと同時に上記のような問題点も抱えていました。ビットコインはパブリックチェーンの代表と言えます。

プライベートチェーン

パブリックチェーンの持つこれらの問題点に対応すべく作られたのが「プライベートチェーン」というものです。プライベートチェーンはパブリックチェーンと異なり、システムへの参加者を絞ります。

取引データの取得やマイニングに参加する権利を特定の集団に絞ることで、合意を取りやすくするします。

この参加者を限定する仕組みにより「柔軟なシステム対応」「間違ったデータの消去」「迅速なサービス」を目指します。つまり「改ざんされない」というブロックチェーンの強味を活かしつつ、中央集権型にすることで円滑な運営を行うことを目標にしたシステムです。

パブリックチェーンの導入により、マイニングにかかるコストや時間の短縮が行われ、一部の参加コンピュータが数秒の時間でできるようになりました。しかし決済サービスなどの分野によってはまだ必要な速度に達しておらず、今後も課題として残りそうです。

ブロックチェーンの利用

経済産業省 平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備

ブロックチェーンは本当に応用の幅の広い技術です。上記は経済産業省の発表した利用例です。喪失や書き換えの許されないデータはあらゆる業界に存在しています。上記の中で興味のある分野が見つかったらぜひ調べてみてください。

スマートコントラクトとの掛け算

スマートコントラクトとは取引の自動化のことです。身近な例でいうと自動販売機は代表的なスマートコントラクトと言えます。お金を入れると人が介在することなく商品が買えます。

このスマートコントラクトはブロックチェーンと相性がよく、ブロックチェーンの価値を飛躍的に高める利用方法として注目されています。取引の成立条件や実行のプログラミングをブロックチェーンを利用して保存するのです。そうすれば改ざんの心配もなく、人の手を介さずに取引が自動化されます。保険や金融をはじめとして、取引の生じるあらゆる分野でスマートコントラクトとブロックチェーンの掛け算が利用されていくでしょう。

ブロックチェーンのハイプサイクル

ハイプサイクルとはガードナーという会社が毎年発表する、「テクノロジーの地図」のようなものです。ハイプサイクルについて詳しくはハイプサイクルとは? ~現在のテクノロジーが一目で分かる~をご覧ください。

こちらがブロックチェーンのハイプサイクルになります。

今は幻滅期のようです。ようやくビットコイン以外への応用が始まり、いくつかのスタートアップ企業が生まれてきている段階ですね。そのため、まだ私たちの生活への影響を実感できる段階ではありません。

しかし他のテクノロジーと比べて一年に進む速度が大きい点は注目ですね。このままの速い速度を維持したまま生活に普及していくのでしょうか。

まとめ

ブロックチェーンの利点と問題点、そして利用方法や現状についてのお話をしてきました。

ブロックチェーンがどのように利用されるかは裾野が広い分だけ楽しみですね!

今回は少し長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。

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