フィンテックとは金融(finance)と技術(technology)を掛け合わせた言葉でした。
フィンテックについてより詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。
そして現在世界一のフィンテック大国といえば…そう!中国です!
今回は世界のフィンテックを引っ張る中国の実情を中心に世界の現状を見ていきましょう
中国を引っ張る二大企業
中国の大企業と言えばBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)でした。
そしてフィンテックの分野で大きな影響力を持っているのがアリババとテンセントです。
各社のビジネスモデルや特徴について下記のページでまとめてあります。
アリババ
アリババグループのアントファイナンシャルという企業が金融分野を担っています。
アントフィナンシャルの主要事業は、大きく分けて以下のように分けられます。
1.支付宝(ジフバオ/アリペイ):決済サービス
2.余額宝(ユアバオ):資金運用
3.浙江網商銀行(ネット銀行):小企業向けローン
4.芝麻信用
5.保険
一つ一つ見ていきましょう。
アリペイ
押しも押されぬアリババの決済サービスです。その利用者は12億人と莫大で、完全に日常に溶け込んだ社会インフラとなっています。日本でも観光地などに行くとアリペイ使用可能というマークがあるのをよく見かけます。
このサービスにおいて特筆すべきは芝麻信用(セサミクレジット)の利用です。芝麻信用とはアリペイの付帯機能として2015年から開始した、個人信用評価システムです。
アリペイで決済すると、その記録がすべて蓄えられます。その行動履歴に基づいて「どれくらい信頼できる人か」というスコア付けが行われるのが芝麻信用の仕組みです。
芝麻信用において重要な項目は、学歴勤・務先などの「身分」に加え、資産を含めた「返済能力」「返済履歴」「人脈」「行動」で、これらによって個人の信用スコアがつけられるのです。
ここで高スコアが記録されれば、ローン金利の優遇や各種保証金の免除、婚活サイトでの優位など様々な社会的メリットが得られます。逆にスコアが低いと実生活において様々な不利益が生じる仕組みになっています。
このITの力で中国は急速に監視社会化しています。そのよい側面として、犯罪抑止やマナー向上が期待されます。単にお金の有無だけでなく、個人が品行方正であるかということが問われる仕組みが出来上がっているのですね。
融資事業
アリババの融資事業は浙江網商銀行(ネット銀行)といった小企業向けだけでなく、個人・企業問わず幅広く行われています。
スマホ経由で申し込みすることができ、AIが与信評価を行うことで融資額や利率が決定されます。この仕組みにより「融資申請三分、審査一秒、人手0人」といわれるアリババの融資事業が成り立つのです。
中国の従来の大手金融は大企業向けの融資が中心で、個人や零細企業までは手が回っていませんでした。アリババのアントファイナンシャルの名前の通りアリのような働きにより、今まで対象外であった零細企業まで適切な金利で融資を受けられるようになりました。
この融資事業においても芝麻信用が利用されています。大量の書類や準備の必要なく、正確な信用スコアがあることで、融資額・金利の最適化が行われているのです。
余額宝(ユエバオ)
余額宝(ユエバオ)は世界最大のMMFです。MMF(マネーマーケットファンド)とは短期債券を中心に運用される投資信託で、資産運用の手段です。
ユエバオが新しいのはここに決済機能を備えていることです。アリペイの引き落としをこのユエバオ口座から行うことができるため、銀行預金の代替商品のように利用できます。しかも金利4%と非常に高く(日本の銀行金利は0.01%)利用者に大きなメリットがあります。
この特性によりユエバオは「勝手にお金を増やしてくれる銀行口座」のような地位を確立することができました。
このようにアリババ率いるアントファイナンシャルは預金・決済・融資という銀行の三大業務を行っています。ここに本業であるEC事業や生鮮食品小売り、シェア自転車、配車アプリと組み合わせて、アリババ経済圏を確立しているのです。
すさまじい企業の力を感じますね。東南アジア、インド、ゆくゆくは日本に向けてもサービス地域拡大を計画しています。
テンセント
テンセントのフィンテックを担うのはWeChatPay(微信支付)です。
テンセントが提供するコミュニケーションアプリである微信(ウィーチャット)の附属機能として提供が開始され、現在9億人の利用者を抱えています。メッセージを送るように簡単に個人間送金ができます。
こちらもアリババとならんで中国の決済サービスの二大巨頭です。
実店舗での決済はもちろん、テンセントが提供するゲーム・動画・映画・本・音楽などの課金手段として生活に強く根付いています。
進む中国のキャッシュレス化
フィンテックの利用は様々な分野で行われています。
スマートミラーとは鏡がIoT化された商品です。この鏡は姿を映すだけではなく、バーチャル化粧体験や服の試着が可能です。そしてそこで提案された商品はその場でアリババのECサイトから購入できるのです。
決済QRコードのみに留まりません。「Take Go」という無人コンビニでは手のひら認証による決済が行われたり、地下鉄の改札は顔認証で乗れるところも出てきています。
銀行を介さない個人間の融資であるP2Pレンディングというのも盛んにおこなわれています。個人向け融資が不足しているという状況をバネにしたリープフロッグ式発展が起きていますね。
インドのフィンテック
インドは13億人を超える人口を有する大国です。
インドの問題点は「身分証がなく銀行口座を開けない人が多い」「インターネット整備が遅れておりスマホ普及率も低い」「現金依存が強く、地下経済が発達している」などがあります。
2014年に就任したモディ首相はインドのIT化を急速に進める政策をとりました。
その代表例が国民IDシステムの「アドハー」です。ID番号と生体認証を組み合わせたもので、12億人が既に登録しています。
また、高額紙幣の廃止も行われました。現金が不便になってキャッシュレス化を進めるという剛腕っぷりです。
行政サービスの効率化はアドハーによりある程度達成されそうです。しかしこれまでのインドはスマホ普及が遅れたため、ネットビジネスが生まれる下地があまりありませんでした。状況が整えられた現在、民間サービスを結びつける巨大プラットフォーマーの出現が期待されています。
まとめ
フィンテック大国と言われる中国を中心にまとめてきました。日本にいてもキャッシュレス決済の波が来ているのを感じるように、フィンテックは刻一刻と普及しています。
現在の最先端の国の状況を見ておくことで、日本にやってきた時の今後の予想や早期対応が可能になるでしょう。これからも世界のフィンテックの状況をに注目していきたいですね。
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