突然ですが移動って面倒くさくないですか?
交通渋滞、退屈な運転、吐き出されるCO2…欲しいドラえもんの秘密道具ランキング1位に「どこでもドア」が選ばれるのも納得です。
今回はそんな面倒な移動に革命をもたらす「MaaS」というサービスのお話をします。
MaaSは一体どんなサービスで、どんな変化を私たちの生活にもたらしてくれるのか?ここではMaaSの意味や定義、レベル、海外の事例など、分かりやすくまとめていこうと思います。
これを読めば、トヨタの社長が「100年に一度の大変革」と呼んだ最新のトレンドについて、基本的な知識が一通り整理できます!
MaaSとは
MaaS(マース)とはMobility as a Serviceの略で「サービスとしての移動」と訳されます。
MaaSは様々な交通サービスを1つのサービスとして捉えた、新たな「移動」の概念です。具体的に言うと「出発地から目的地までの移動を一つのサービスとして提供する」ということです。
現在の交通サービスは多岐にわたりますがそれぞれが分断されています。バス・電車・車・自転車などの細分化されたサービスを一つにまとめて、「移動」という新しいサービスを作るのがMaaSなのです。
MaaSが実現すれば、アプリでバス、タクシー、自転車シェア、カーシェアなど様々な交通手段を組み合わせて、最適な移動を交通サブスクリプションモデル(定額制)で利用できるため、移動の革命が起きるでしょう。
MaaSの実現に深くかかわっているのが車の自動運転です。自動運転とは何か?どのような段階があり、現在どこまで進展しているのか?など詳しく知りたい方は「自動運転とは?」をご覧ください。
MaaSの発展段階
MaaSは発展段階に応じて5つのレベルに分けられます。
レベル0:統合なし
データやサービスの統合は全く起こっておらず、各サービスごとに細分化されています。今までの交通システムがレベル0でした。
レベル1:情報の統合
レベル1のMaaSでは料金・ダイア・所要時間などが統合されています。Google MapやNAVITIME、乗換案内などのサービスがそれにあたります。スマホでこれらを使いこなしている人はいつの間にかMaaSレベル1に足を踏み入れていたのです。
レベル2:決済と予約の統合
レベル2では、目的地までの交通機関を一括比較でき、予約・発券・決済がスマホで可能です。代表例はUber(アメリカ)、DiDi(中国)、Grab(シンガポール)などのサービスです。日本ではまだ普及していませんね。
レベル3:サービスの統合
事業者との協力が進み、どの交通機関を選択しても定額乗り放題のサービスが受けられます。遥か先のことのように思えますがWhim(フィンランド)は既に実用化に成功しています。
レベル4:政策の統合
国や自治体が事業者と協力し国家プロジェクトとして進めます。都市計画や政策レベルで交通に対してアプローチすることができるようになります。今のところレベル4はまだ世界中のどこでも実現されていません。
MaaSの発祥地フィンランドでの取り組み
北欧フィンランドのスタートアップ「MaaS Global」社が提供するWhimというサービスはレベル3のMaaSを実現させています。
Whimではスタートとゴールを設定すると最適な経路を提案してすべて手配してくれます。そして気になる定額制の価格は以下の通りです。
ヘルシンキでは利用者が7万人を突破し、普及してきています。
この変化が社会に与える影響もとても大きいです。Whim利用者で自家用車を利用する人は40%→20%と減少、公共交通機関を利用する人は48%→74%と増加しました。
MaaSの到来で車を所有する時代から利用する時代への変化をにおわせるデータですね。
なんとWhimは2020年に日本上陸をしています。三井不動産とパートナーとなり、「MaaS シティ」実現に向けてプロジェクトを開始しています。
MaaSのもう一つの側面:移動のビッグデータ
MaaS事業者はただ便利なサービスを提供するだけではありません。MaaSを握ることで移動のビッグデータを握ることができるのです。
誰がどこに住んでいて、どのように移動しているのかということはまだ誰も把握できていません。これを握ることができれば、新たな広告やデータを利用したサービスにおいて非常に有利な形で利用できるのです。
このように移動のビッグデータには計り知れない価値があります。MaaSへの参入にはデータをめぐる争いという一面もあるのです。
MaaSの参入者は大きく分けて「公共交通事業者」「自動車メーカー」「IT企業」の3種類に分けられます。それぞれの強味を生かしてどのようにアプローチするのか目が離せません。
まとめ
MaaSについて様々なことを見てきましたがいかがでしたでしょうか。まだ見ぬ便利さにとてもワクワクしませんでしたか?
私は先日シンガポールの会社が提供するMaaSレベル2の「Grab」を利用する機会がありました。その時は人が運転しており、料金も現金払いでしたが、こうも便利なのかと驚きました。レベル2のGrabでさえ、移動の計画や手配をする煩わしさから解放されたような気持ちになるのです。ここに自動運転やAIによる最適化が加わったらどれほど安価で便利になるのか・・・
MaaSのニュースやもたらす変化に引き続き注目していきましょう!
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